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インバータ使用上の注意
FR-B、B3 シリーズインバータは信頼性の高い製品ですが、誤った周辺回路の組み方や、運転・取り扱い方法によっては製品寿命を縮めたり、破損させるこ
とがあります。運転に際しては必ず次の事項を再確認の上で使用してください。
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電源およびモータ配線の圧着端子は絶縁スリーブ付きのものを推奨します。
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電源がインバータの出力端子 (U 、 V 、 W) に印加されるとインバータが破損します。このような配線は絶対にしないでください。
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配線時にインバータ内部に電線の切りくずを残さないでください。
電線の切りくずは、異常、故障、誤動作の原因になります。インバータはいつもきれいにしておいてください。
制御盤などに取付け穴をあけるときは、切粉などがインバータに入らないよう注意してください。
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電圧降下が 2%以下となるような電線サイズで配線してください。
インバータとモータ間の配線距離が長い場合は、特に低周波数出力時、主回路ケーブルの電圧降下によりモータのトルクが低下します。
推奨の電線サイズについては
を参照してください。
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総配線長は規定の長さ以下で使用してください。
特に長距離の配線をする場合、配線の浮遊容量による充電電流の影響を受けて、高応答電流制限機能の低下や、インバータの出力側に接続した機器の誤
動作、不具合が生じることがありますので、総配線長には注意してください。(
参照)
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電波障害について
インバータの入出力(主回路)には高周波成分を含んでおり、インバータの近くで使用される通信機器(AM ラジオなど)に電波障害を与える場合があ
ります。この場合には EMC フィルタを入れる(EMC フィルタ入切コネクタを ON にする)ことによって障害を小さくすることができます。(FR-A800
取扱説明書(詳細編)3 章参照)
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軸受電食について
インバータでモータを駆動する場合は、原理上モータ軸受部に軸電圧が発生し、軸受のグリースや配線方法、負荷や運転状態、インバータ設定状態
(キャリア周波数が高い、EMC フィルタ ON) により、稀に軸受電食が発生することがあります。
モータ側の対策については、JEM-TR169(日本電機工業会技術資料)を参照するか、ご使用モータの営業窓口までご照会ください。
インバータ側の対策事例としては、以下があります。
・キャリア周波数を下げる(FR-B)
・インバータ出力側にコモンモードフィルタを追加する
・EMC フィルタを OFF する
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インバータの出力側には進相用コンデンサやサージキラー、ラジオノイズフィルタを取り付けないでください。
インバータトリップやコンデンサ、サージキラーの破損を引き起こします。接続されている場合は取り外してください。
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電源を遮断した後しばらくの間はコンデンサが高圧で充電されていて危険です。
インバータ内部の点検を行う場合は電源を遮断した後でも、しばらくの間は平滑コンデンサが高圧状態にありますので、電源遮断後 10 分以上経過した後
にインバータ主回路端子 P/+ と N/- の間の電圧が十分に降下したことをテスタなどで確認してから行ってください。
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操作パネルが
EV
を表示している場合は、24V 外部電源を OFF してから配線作業を行ってください。
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インバータ出力側での短絡、地絡はインバータモジュールを破損することがあります。
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周辺回路不備による短絡の繰返し、あるいは結線不備、モータの絶縁抵抗低下による地絡はインバータモジュールを破損することがありますのでイン
バータ運転前には回路の絶縁抵抗を十分確認してください。
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インバータ出力側の対地絶縁、相間絶縁は電源投入前に十分確認してください。
特に古いモータの場合、雰囲気の悪い場所の場合にはモータの絶縁抵抗などの確認を確実に行ってください。
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インバータ入力側の電磁接触器でインバータの始動・停止をしないでください。
入力側電磁接触器による頻繁な開閉は、電源投入時の突入電流の繰り返しにより、コンバータ部の寿命(開閉寿命は 100 万回程度)を短くするので、避
ける必要があります。インバータの始動停止は必ず始動信号(STF、STR 信号の ON/OFF)で行ってください。(
参照)
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P/+ 、 PR 端子は外付けブレーキ抵抗器以外の機器を接続しないでください。
機械式ブレーキは接続しないでください。
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インバータ入出力信号回路には許容電圧を超えた電圧を印加しないでください。
インバータ入出力信号回路に許容電圧を超えた電圧を加えたり、極性を間違えると入出力用素子が破損することがあります。特に速度設定用ボリューム
の接続を間違って端子 10E と端子 5 の間が短絡されることのないよう配線を確認の上でご使用願います。
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停電後の復電で機械の再始動防止が必要な場合にはインバータの入力側に電磁接触器を設けるとともに、始動信号が ON しないようなシーケンスとしてく
ださい。
始動信号(始動スイッチ)が保持されたままであると、復電でインバータは自動的に再始動します。
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インバータ入力側電磁接触器 (MC) の設置目的
インバータ入力側は次のような目的で MC を設置してください。(選定については、FR-A800 取扱説明書(詳細編)2 章を参照してください。)
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インバータ保護機能動作時、あるいは駆動装置異常時(非常停止操作など)にインバータを電源から開放する場合。
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停電によってインバータ停止後、復電時自然再始動による事故を防止する場合。
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保守、点検作業の安全性確保のためインバータを電源から切り離す場合。
運転中に非常停止する場合は、インバータ入力側電流に対して JEM1038-AC-3 級定格使用電流で選定してください。
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インバータ出力側電磁接触器の取扱い
インバータとモータ間の電磁接触器はインバータ、モータ共に停止中に切り換えてください。インバータ運転中に OFF → ON した場合、インバータの過
電流保護などが動作します。
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インバータから発生するノイズ対策について
アナログ信号によりモータの回転速度を可変して使用する場合において、インバータから発生するノイズにより周波数設定信号が変動しモータの回転速
度が安定しないような場合、次の対策が有効です。
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信号線と動力線 ( インバータの入出力線 ) の平行布線や束ね配線は避ける。
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信号線を動力線 ( インバータの入出力線 ) から極力離す。
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信号線にシールド線を使用する。
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信号線にフェライトコア ( 例 : ZCAT3035-1330 TDK 製 ) を設ける。
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過負荷運転に関する注意事項
インバ−タにて運転・停止の繰返し頻度が高い運転を行う時に、大電流が繰り返し流れる事により、インバ−タのトランジスタ素子の温度の上昇・下降
が繰り返され、熱疲労により寿命が短くなる場合があります。熱疲労には電流の大きさが影響していますので、拘束電流や始動電流などを小さくするこ
とにより、寿命を延ばすことが可能になります。電流を小さくすることにより寿命を延ばすことが可能ですが、電流自体を小さくするとトルク不足にな
り、始動できない場合もありますので、インバ−タの容量・モータ容量を共に大きくして、電流に対して余裕を持たせることも対策となります。
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仕様・定格が機械、システムの要求に適合しているか十分に確認してください。