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撮影に関する機能と効果
背景が大きくボケてピントを合わせた主題の被写体が浮
かび上がって見える映像、あるいは手前の被写体から背
景まで画面全体にピントが合っているように見える(シ
ャープに見える)映像。いずれの描写にも被写界深度が
大きく関係しています。正確に言うとピントの合うところ
はピントを合わせたところ(撮像素子面に平行な一平面
)だけなのですが、ある被写体の1点にピントを合わせる
と、その前後にもピントが合っているように見える範囲が
あります。この範囲が被写界深度で、範囲が広いことを被
写界深度が「深い」または「広い」といい、範囲が狭いこ
とを被写界深度が「浅い」または「狭い」といいます。
レンズの絞りは、シャッターとともに露出をコントロー
ルするという重要な役割を持っていますが、もうひとつ重
要な働きをします。絞りを変化させると被写界深度が変
わるのです。例えば、F1.4からF22までの絞りを備えた
レンズの場合、F1.4をこのレンズの「開放絞り」、F22を
「最小絞り」といいます。また、絞りを最小絞り側に変化
させることを「絞り込む」または「絞りを絞る」といい、逆
に開放絞り側に変化させることを「絞りを開ける」と言い
ます。
被写界深度は絞りを絞るほど「深く」なり、ピントの合
っているように見える範囲が広がり、結果としてピントを
合わせた被写体の前後もシャープに見えるようになりま
す。逆に絞りを開けるほど被写界深度は「浅く」なり、ピ
ントを合わせた前後のボケが大きくなり、結果としてピン
トを合わせた被写体が浮かび上がって見えてきます。絞り
は露出だけでなく、被写界深度をコントロールする重要
な役割も持っているのです。また、それはボケ量をコント
ロールすることでもあるのです。
同じ絞り値でも撮影距離が遠くなるほど被写界深度は
深くなり、近づくほど浅くなります。レンズの焦点距離に
よっても変わり、焦点距離の短いレンズほど被写界深度
は深くなり、長いレンズほど浅くなります。
こうした被写界深度の性質を理解しておけば、例えば
前景から背景までをシャープに撮影したいときは、焦点
距離の短いレンズ(広角レンズ)を使い、絞りは絞り込ん
で、撮影距離は離れ気味で撮影したほうが効果的という
ことが分かります。逆に背景や全景を大きくボカしてピン
トを合わせた被写体を強調したいときは、焦点距離の長
いレンズ(望遠レンズ)を使い、絞りは開き気味にして、
被写体に近づいて撮影したほうが効果的ということが分
かります。
被写界深度は、
絞り値・焦点距離・撮影距離
の3つの要
素で決まりますが、実際の撮影では被写体と背景までの
距離なども加味しなければなりません。
被写界深度とは?
絞り値
焦点距離
撮影距離
小さい
(
開放絞り値
)
長い
(
望遠
)
近い(大きく写す)
大きい
(
最小絞り値
)
短い
(
広角
)
遠い(小さく写す)
被写界深度
(ピントが合ってはっきりと見える奥行き範囲)
広い(深い)
狭い(浅い)
被写界深度と「絞り値・焦点距離・撮影距離」の関係
3 つの要素と被写界深度の関係は下のグラフのようになります。この関係を理解してレンズを選択し、3 要素の設定値
をバランスさせることで、画面の中ではっきりと見せたい主題部分(範囲)をコントロールすることができます。
Summary of Contents for NEX-FS100
Page 1: ...NEX FS100 Handbook ...
Page 2: ......
Page 3: ...Chapter 1 撮影に関する機能と効果 Chapter 2 特殊な撮影 再生機能 Chapter 3 外部機器と組み合わせて使う Chapter 4 ピクチャープロファイル ...
Page 46: ......
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