ステップアップガイド
MG12/4FX
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3-2. ベストパフォーマンスのための
イコライザー設定
各チャンネ ルをまとめてミック スするとき、あるチャン ネルの周波
数帯域とほ かのチャンネルの周波 数帯域とがぶつかり合 っている部
分をなくし、全 体をうまくまとめて いくのがイコライザ ーを使う目
的のひとつ です。ミックスでは、あく までその信号を自 然に再現し
てあげるのがポイントです。
基音:各楽器の音程感を与える周波数の音
倍音:それ以外の周波数の音
■ さらにクリアなミックスにするためのカット
たとえば、シン バルの音は低音域か ら中音域の範囲に基 音がある楽
器ですが、普段私たちが音楽 CD を聴くときなどはあまりこの基音
を意識することはありません。
ここで、イコラ イザーを使ってシン バルのチャンネルの 低音域を下
げてみまし ょう。シンバルの低音域 をカットしてミック スした音は
よりすっき りとした感じになり、ほ かの楽器の低音域の 音がより鮮
明に聞こえ てきます。同じようにピ アノも低音域から中 音域に基音
がある楽器 なので、低音域を少しカ ットすることでほか の楽器の音
(特にドラム やベース)をより効果 的に引き立てること ができます。
もちろん、ピア ノがソロ演奏をして いるときはこのよう なことはし
たくはないものです。
■ ブーストは慎重に
特殊なミッ クスにしたい場合は、好 きなだけブーストし ても良いか
もし れません。し かし、クリ アな音 でのミッ クスに したい場 合は、
ブーストは 慎重にかけていって ください。ブーストのか けすぎはノ
イズを増幅 させてしまう原因に もなります。バスドラム やベースな
どは、基音とな る低音域以外に中音 域から高音域にわた って幅広い
倍音があり ます。バスドラムやベー スのアタック感を強 調したい場
合は、それらの 高音域を少しブー ストしてみると良い でしょう。同
じように、ボー カルも高音域を少 しブーストすると、臨 場感のある
いきいきとしたミックスになります。
■ イコライザ−設定のコツ
ミックスさ れた音全体をよく聞 いてみましょう。もしそ の音が鮮明
に聞こえなければ、ブーストでミックスの透明感を出そうとせずに、
どのパート がクリアなミックス を邪魔しているのか を見極め、その
パートで不 自然に飛び出している 周波数帯域を少しだけ カットして
みましょう。ミ ックス全体をよく 聞き、引き立てたい音 を邪魔して
いるのは何 かを考えながらイコラ イザーを使っていくと 良いでしょ
う。イコライザ ーのかけすぎも禁 物です。常にイコライ ザーで調整
前の音と比較しながら音作りを進めていきましょう。
■ ハイパスフィルターの使い方
ハイパスフ ィルターとは、ある周波 数より下の周波数帯 域の信号を
カットする 機能です。本機は、ハイパ スフィルターをオ ンにすると
80 Hz 以下の超低音域がカットされます。ボーカルの息などがマイ
クに吹き かかったときの ボッ と いったノイズや、マイ クを持つ
ときの ゴト ゴト というハンドリ ングノイズのほか、マ イクスタ
ンドを通し て床から伝わってく る振動などを軽減し ます。マイクを
使って収音 するときは、特殊な場 合を除き、オンにして おくことを
おすすめします。
周波数について
人間の可聴範囲は 20 Hz 〜 2 0 kHz くらいとされ、私たちの会
話は 300 Hz から 3 kHz くらいの間で行なわれています。また、
ギターの チューニングな どに使われる 音叉の周波数は 440 Hz
で、これを平均律音階の「ラ(A) 」としています。それを基準
に、周波数が 2 倍(880 Hz)になると、音程は 1 オクターブ
上がり周波数が半分(220 Hz)になると、音程は 1 オクターブ
下がります。
本 機は 、よ り多 くの 楽 器で 大き な 効果 が得 ら れる よう に、 イ
コ ラ イ ザ ー の 基 準 周 波 数 を LOW/ MID/ HIGH で そ れ ぞ れ
10 0 Hz /2 .5 kHz/1 0 kHz に設定 して います 。
周波数帯域 (Hz)
MID ブースト
(増幅)
LOW ブースト
(増幅)
LOW フラット
LOW カット
(減衰)
HIGH ブースト
(増幅)
HIGH フラット
HIGH カット
(減衰)
MID カット
(減衰)
MID フラット
信
号
レ
ベ
ル
(dB)
20
50
100
トロンボーン
トランペット
ギター
ベース
シンバル
スネアドラム
バスドラム
ピアノ
200
500
1 k
2 k
5 k
10 k
20 k (Hz)
代表的な楽器の基音 と倍音
のおおまかな分布
周波数