54
Black Spirit 200 – Manual 1.1
2 Black Spirit 200の基本操作
Black Spirit 200は、他のあらゆるアナログアンプと同じ原理で機能するアナ
ログアンプです。ただし、その操作コンセプトはいくらか進歩的であるため、少し
時間を取って以下の説明をよく読んでください。Black Spirit 200の操作コンセ
プトを理解するためには、以下の基本事項を必ず覚えておいてください:
● Black Spirit 200はアナログアンプですが、全てのスイッチ機能およびノブ機
能は、MASTERノブを除いてプログラミング可能です。
● アンプの動作モードによって、いくつかのノブやスイッチには異なる機能が割
り当てられます。
● 全ての設定は、MIDI経由で保存したり呼び出したりできます。そのために、
あ
なたのサウンド設定は128個のメモリー・スロット、いわゆるプリセットに保
存できます。
2.1 ノブの機能
Black Spirit 200は、4チャンネルのアンプです。4つのチャンネルは全て、同
じ一式のノブでコントロールされ、
ノブに割り当てられる機能は、選択するチャン
ネルによって決まります。たとえば、チキンヘッド・セレクター・スイッチ
(第3章参
照)でCleanチャンネルを選択すると、GainノブはCleanチャンネルのゲインをコ
ントロールし、Leadチャンネルを選択すると、GainノブでLeadチャンネルのゲイ
ンがコントロールできるようになります。
この設計の大きな利点は、各チャンネル
が完全に独立し、ゲインやボリューム、
トーンのコントロールを共有しなくて済む
というところにあります。
これにより、チャンネルは完全に独立して調整可能であり、
コントローラーを共有
する必要はありません。ただし、最大の長所は、
リアルタイムでのMIDIにより、
コ
ントローラーが完全に遠隔操作可能なことにあります。
これに関する詳細につい
ては、本章の2.3項、および第8章に記載されています。
参考:これらのノブは、外見も使用感も、回転角300度で左右に回転止めのあ
る通常のポットと同じです。ただし、実際の動作は通常のものと異なっており、
多少の慣れが必要です。
プリセットにプログラムされたノブの位置は、パネル上
の物理的な位置とは異なります。つまり、
あるプリセットから別のプリセットに切り替えた場合、パネル上のノブの位置は
必ずしもそのプリセットにプログラムされた位置を反映しているとは限りませ
ん。実際のサウンドも、パネル上のノブ位置が示すものとは異なる場合がありま
す。
ノブは、動かした瞬間に、通常のノブと同じように反応します。
ノブの設定が
プリセット通りかどうかは、
マスター・セクションにあるSTOREのLEDの状態
によって判断できます。
ノブの物理的な位置がプリセットの設定と同じ場合に
は、LEDが点灯します。詳しくは2.4項を参照してください。
注意:ノブを回した時に、かすかなバックグラウンド・ノイズが聞こえるかもし
れません。
このノイズは、
プログラマブル・レジスター・ネットワーク
(PRN)が
256個の抵抗を切り替える時に出るものです。個々のロータリー・コントロー
ルは、直列接続された256個の抵抗とそれらを切り替える256個のスイッチ、
そして、スイッチの位置を保存したり呼び出したりするメモリーで構成されて
います。
2.2 プリセットの選択
プリセットは、MIDI経由またはiPad用アプリでのみ切り替えられます。プリ
セットの切り替えには、MIDIフットスイッチやMIDIコントローラー、MIDIを内
蔵したペダルボードなどがどれでも使用可能です。両方のMIDIすなわち、
アンプ
(MIDI信号の受信側)
とコントローラー(送信側)は、同じチャンネルに設定さ
れている必要があります。そうでなければ、MIDIコマンドは無視されたり受信さ
れなかったりします。工場出荷状態のアンプは、すぐにご使用いただけるように
MIDIチャンネルが1、Omniモードがオン
(16個全てのMIDIチャンネルの信号を
受信する状態)に設定されています。Black Spirit 200がプログラム・チェンジ
に反応しない場合は、本説明書の8.1項または、
ご使用のMIDIコントローラーの
取扱説明書を参照してください。
2.3 Hughes & Kettner FSM-432 MK III MIDI-Boardに
よる遠隔操作
まずはHughes & Kettner社製のFSM-432 MIDIボードを見てみましょう。
このボードは、
アンプの128個のプリセットを、それぞれ4個のプリセットを持つ
32個のバンクに振り分けられるようになっています。振り分けは自由にできるの
で、たとえば4個のプリセットを同じ曲の中で切り替えられるように、同じバンク
にまとめておくこともできます。Black Spirit 200は、FSM-432の全バージョン
で機能します。
1 プリセットA、B、C、Dボタン
同一バンク内のプリセットを直接呼び出すフットスイッチです。たとえば、同じ
バンクの中のプリセットAからBに直接切り替えることができます。A、B、C、Dの
各スイッチを踏むと、それぞれに対応したLEDが点灯します。
2 バンク・アップ/ダウン・ボタン
異なるバンクのプリセットを呼び出すには、
アップおよびダウンのスイッチで目
的のバンクを選択します。バンクを選択している間は、現在呼び出されているプリ
セットのまま演奏を続けられます。FSM-432のディスプレイにはバンクの数字
が表示されますが、A、B、CまたはDのスイッチを踏んで目的のプリセットを選択
するまで、数字は点滅し続け、新しいプリセットには切り替わりません。
3 TAPボタン
TAPボタンを使うと、素早く簡単にディレイ・タイムの設定ができます。
この機
能は、
ステージの上では特に便利です。TAPボタンをビートに合わせて足で踏め
ば、その曲のテンポにディレイ・タイムを合わせることができます。詳しくは4.3項
を参照してください。
4 モード・スイッチ:プリセット・モードとストンプボックス・モードの切り替
え
フットスイッチ背面にあるMIDI接続部のあるスライダー・スイッチ
で、FSM-432 MK IIIをPresetモードあるいはStompboxモードで動作させる
かを選択できます。
スライダー・スイッチで「Stompbox-Mode」に切り替えると、ディスプレイに
「Sb」
と表示されます。
このモードではプリセットは呼び出されず、ボタンを直接
押すとチャンネルが選択されます。
また、チャンネルとは無関係にモジュレーショ
ン・エフェクト、ディレイ、ブーストをオン/オフすることができます。
備考:ストンプボックス・モードは、適切なプリセットがない状況のために、
あるい
は例えば、
ノブを押してサウンドをエフェクトあり/なしで比較する上でプリセッ
トを作成するために考案されたものです。
ストンプボックス・モードにはタップ機
能がなく、エフェクト設定は4つの全チャンネルに適用されます。そのため、
ライブ
ではプリセット・モードを使用することを強く推奨します。
5 Control 1およびControl 2端子
Black Spirit 200に追加コントロール機能を割り当てることができるよう、エ
クスプレッション・ペダル (推奨機器:Yamaha FC 7) あるいは単体のフットス
イッチ (推奨機器:Hughes & Kettner FS-1) をこの2つのジャックソケットに
接続できます。
この方法では、
アンプのプログラミング可能な全機能を遠隔操作
できます (8.3項)。
これによって、ギターから手を離すことなく、エクスプレッション・ペダルでリバー
ブの量を調節したり、
フットスイッチでノイズ・ゲートをオン・オフしたり、ペダル
でゲインを増減させたりできるようになります。一般的には、
(プリセットを切り
替えずに)
フットスイッチでブーストをオン/オフしたり、ペダルでボリュームを
調節したりするといった使い方が考えられます。8.3項一覧表からもおわかりの
通り、たとえばコントロール・ナンバー07をひとつのControl端子に割り当てて、
その端子にエクスプレッション・ペダルを接続すれば、音量がリモート・コントロ
ールできます。ブースト・オン/オフの切り替えは、
コントロール・ナンバー64をも
うひとつのControl端子に割り当てて、そこにフットスイッチを接続すればリモー
ト・コントロールできます。
基本的に、MIDI値 0 は、
ノブ左一杯(反時計周り)、
またはボタンの「オフ」位置
に相当します。MIDI値 127 は、
ノブ右一杯(時計周り)、
またはボタンの「オン」
位置に相当し、
ノブまたはボタンを直接アンプで操作しているようです。例外:ボ
リュームの制御領域は、常にプリセットに登録されている値によって上限が設定
されています。例えば、ボリュームが12時の位置で保存されている場合、最大値
の127 (またはエクスプレッション・ペダルをいっぱいまで踏み込む) は、実際に